スラッシュ
あれから三年になる。三年というのは「区切り」という言葉がともなって似合うらしい。
私のところから隣町にある大型スーパーの大きなネオン看板が見える。今年の仕事始めから、煌々とその灯りがふたたび赤く光りはじめた。
あの日にふっと消えた。それが三年目にぱっと点いた。何か問いかけのようだと思った。答えがひらめいて点いたのではない。それはただの記号である。
昨日/今日/明日/私は/夜/ベランダにて/振りかえれば/食卓が/見える。
この小鉢六角高台は
伊賀小鉢のラインナップである。縁起のよい亀甲六角の高台、その上にちょこんと酢の物和え物香の物、「向付(むこうづけ)」として配すれば、膳の景色をますます色づけてくれるはずだ。
東青山が扱う「伊賀の器」シリーズは、精製していない自然の土を作り手がじかに捏ねて、「たたら」「ろくろ」「型うち」という手法を用いながらひとつひとつ丁寧にこしらえてある。既成の型で成形しているものとはちがい、荒々しい土のまんま、その素朴な風合いには定評のあるところだ(伊賀土に関しては本頁、「切立湯呑」を参考にしていただきたい)。さらに目を愉しませてくれるのが「釉薬」である。その絶妙な肌合いと艶は、この「伊賀の器」シリーズにおいて十種類もの肌展開をしており、今回の「小鉢六角高台」もまた、伊賀で採れる灰や長石を原料に「志野」「石灰」「黒飴」「呉須縁」「松灰」と銘打って五種類ほど揃えた。
まず「志野」は、かの桃山から伝わる温かみのある志野釉を藁灰で再現したものである。「石灰」は、焼成によって無色透明なガラス質になるため素地の土そのものの趣を見せてくれる。「黒飴」は、伊賀に古くから伝わる透明な漆黒を映し出す鉄釉のことである。「呉須縁」は鉄絵で、伊賀で採れる<龍石>なる天然の鉄絵具と<呉須>を使って絵付けをした。さいごに「松灰」、これは、登り窯の燃料となる赤松の灰だけを使って、その灰が融けてしまうまで高温を保つと、澄んだ緑色に発色し、生地も硬質に焼き締められる。
といった具合に粒揃いの個性が並ぶが、さて、色とりどりの肌をとりそろえ、御宅の食卓を彩ってみるのもいかがか。たまには小鉢で一品足してみるのもいい。
商品名 小鉢六角高台(「伊賀の器」シリーズ)
素材 伊賀土(石灰釉/黒飴釉等)
製造 耕房窯(三重県伊賀市)
デザイン 渡邊かをる
制作 東屋
寸法 径99mm × 高70mm
価格 志野/石灰/黒飴 3,080円
呉須縁/松灰 3,630円
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