
この鉄瓶は、
地に足、浮き足立たぬ間九百年もの暦を数えた、鋳物の産地、岩手県水沢から届いた「鉄の極み」である。鉄瓶は、高度成長期の昭和三十年代に一般的に普及したといわれているが、鉄の力が日本を元気にしていたことと関係があるのかもしれない。時代はうつってどんどん便利になれば、手入れのかかる道具はすこしずつ見なくなるが、手間をかけて大事にする道具ほど人の知恵が詰まっていることもわすれてはいけない。
さて、鉄瓶で水を沸かす。中火でじっくり。沸きはじめても一分ぐらいは弱火であたためるように。火を止めて、沸いた湯はすっかり魔法瓶にうつしかえる。ふたを開け、鉄の余熱で乾かす。なるほど、湯は、作るものなのかもしれない。一口、まろやかな丸みを帯びてたしかにおいしい。沸かすたびに鉄分が溶け出してくれて、からだにしぜんと摂取できるのもますますおいしい。大切に使えば、永年仕えてくれる。孫の代をもはるかに越えて受け継がれてゆく。用の美と尊さにあふれるこの鉄瓶、おおよそ1,5リットルの懐の深さと、重みに感じ入ろう。とはいえ、とかく吹きこぼれのなきよう、身、七分目で沸かしていただきたい。
商品名 水沢姥口
素材 鋳鉄、鍛鉄、漆
製造 及富(岩手県水沢)
制作 東屋
寸法 幅200mm × 径180mm × 高175mm(把手含む)
/100mm(蓋のつまみまで)
容量 1,500ml
価格 33,000円
水沢姥口
<< 戻る