
プリントゴッコはいつの時点で捨てたのか、それを思い出したからといって、プリントゴッコが戻ってくるわけでもない。心臓を押しつけるぐらいに抱きしめて泣いたあのわたしはもうあそこにはいないのだ。わかってる。あったはずのものがなくなるのは世の中の真理だということも、わかってる。わたしの部屋も、父も、毎日みんながひとところにあつまるあたりまえだったことも、だれかがじゅんじゅんにかたづけていってしまった。それでも、母はここにいる。わたしの目の前に。
プリントゴッコがとつぜん、象徴になる。ふと思い出して、気づくとないものに、気づいてしまうとひとたびわたしの思いもよらないところがゆっくりとうごきだして、どんどん大きくなって、わたしは爆発するんじゃないかと思う。とってもおっかない。うまく言えないことほどおっかないものはない。
急に思い出しては騒ぎはじめる。母の前でわたしはかわらずそうらしい。姉が言っていた。そのひとに似て、それがわたしの体である。
「今日は泊まれるの?」
台所からそのひとの声が聞こえた。
収納、十八番。
茶葉が風味を損なわれないまま私たちの手許に無事届くのは、「茶箱」のおかげであることは言わずもがなである。お茶どころ、といえば勿論「静岡」になるわけだけれど、この「茶箱」もまたその「静岡」が産地だ。
茶葉の保存と運搬を一手に引き受けて、尚ひとところには納まらぬ、というか、そうはさせなかったのが私たち日本人の知恵である。とかくこの箱、相当な強者であることはたしかなようである。
まず、湿気や匂いから中身を守ってくれる、それから、わるい虫は万事寄せつけない、そうそう、この箱、杉の木で拵えてあるので自身の匂いを移さない(杉は、木のなかでも匂いが少ないとされる)、蓋を開ければ、内にトタンが張り巡らされていて密閉性にも優れている、で、忘れちゃいけないのが、そもそも、あっちへこっちへ運ばれるのが運命である以上、ちょっとやそっとじゃこわれない、とまあ、効能を書き出せば切りのないぐらい。ならば、茶葉にだけその安住の地を明けわたしておくのも勿体ない、と、むかしのひとはほんとうによく考えたものだ。「茶箱」と名乗る収納箱が生まれたのも道理に適っているわけである。
さて、四月がやってきた。初々しくまずは身の回りのお片づけに、一役買って出たい、と「茶箱」がカタコト言いだした。あなたなら,彼らのフトコロに何を納めるのだろう。例えば、樟脳をしのばせて昨冬の衣服の類いもよし、からっとしたまんま乾物もよい、野菜根菜なんでもござれ、「茶箱」は何でもあなたの大事なものを受け入れてくれる。なんてったって箱の中の箱、といえばこの「茶箱」をおいてほかにはないのだから。
東青山では、大、中、小、とサイズを取り揃えてみました。
頃合見計らって、頃合のよいものを、ぜひ。
この茶箱は
商品名 茶箱
素材 杉、亜鉛鉄板、紙(正麩のり貼)
製造 土屋製函所(静岡県藤枝市)
制作 東屋
寸法(mm)および価格
5 キロ 平 幅350 × 奥行245 × 高140 10,450円
5 キロ 幅350 × 奥行245 × 高265 11,000円
10キロ 平 幅425 × 奥行295 × 高180 12,650円
10キロ 幅425 × 奥行295 × 高325 13,200円
20キロ 平 幅515 × 奥行365 × 高215 15,950円
20キロ 幅515 × 奥行365 × 高405 16,500円
40キロ 平 幅680 × 奥行435 × 高280 19,250円
40キロ 幅680 × 奥行435 × 高485 20,900円
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