火のつけ方
虫眼鏡で火をつけた。紙を燃やしてみたのだった。太陽の光が集まるその一部始終をずっと眺めていられた。(空き地で友だちとしゃがんでじっと待った熱い夏だった。)まもなくマッチを擦ることをおぼえた。むかしむかし喫茶店にはその店オリジナルのマッチがあったものだ。今ではズボンのポケットにライターがぽつんと入っている。火は、つける以前、起こすものだった。火をおこす、というのは、眠っている火を目覚めさせたくて、あらゆる手段を講じることだった。
私に火が点いたのはいつだろうか。あるいはどういう方法で火がついたのだったか、うまく説明ができない。
引鉄があるはずだった。今だ、というときにその引鉄を引けばいいだけなのかもしれなかった。(それを直感と呼ぶひともいる。)
さいしょ、ものをこしらえることはあたりまえのことではなかった。私はかわいていた。かわいた紙は瞬く間に燃えた。もちろん習慣によって手にするものは多い、けれど、熱望には敵わない。
私はいまも夢を見る、空も見上げる。
まぶしい。
このスパークLは
着火棒である。五徳やコンロの吹き出すガスに近づけ、火花を飛ばして点火する。業務用だが、まずはそのカタチにしびれたのだ。だからといって、まさか、一丁、二丁と数えるわけではない。
引鉄を引くだけである。ノズルが長く安全仕様。家庭では、ガスコンロの着火装置が劣化して火花の散らない緊急事態を補う。電池や発火石は一切不要。半永久的に使える逸品。あくまで火花を飛ばすのみ、火も弾も光線も出ない。
商品名 スパークL
素材 SPCC(鋼板)+クロームメッキ、
BST(黄銅管)+ニッケルメッキ
仕様 圧電方式(点火装置部分)
製造 平野技研工業(静岡県富士宮市)
寸法 長285mm
重量 180g
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