光景
男はふいに思い出したように、面白い、っていうのは褒め言葉なんだろうか、あれってけっきょく大して言うことがないからそう言ってるんだろう、と言うので、女は、それってわたしに聞いてるの? と言った。男はなにも答えなかった。そういえばだれかに聞いたことがあるわ、と女は言った。たとえばね、夕日を見て、夕日がきれいだね、とは言うけど、同じ夕日を見て、夕日が面白いね、とは言わないでしょ、そもそも、きれい、って言葉は、なかなか出てこない言葉だったはずだとおもわない? そこが、面白い、とはちがうような気がする。女は窓の外に目をやると、雨、止まないわね、とつぶやいて、それから、面白い、はいつか退屈するけど、きれい、はいつまでも飽きないのよ、儚いけど、と、ひとり言のように言った。女は、男の顔を見直した。男は、女の眼のなかに夕日が映っているのを見たことがあっただろうか、とおもっていた。女はコーヒーをひと口飲んだ。その目は伏せて、わたし、なんかだめなこと言った? と言った。男ははっとして、ぜんぜん、と言った。通りの向こう側で、女のひとが転んだ。二人は見つけて、別々にじっとそれを見ていた。連れらしき男のひとが女のひとに手を差し伸べているのをじっと眺めていた。
この盆皿は
九州の栗の木を轆轤で丁寧に挽いたあと、胡桃油を拭き込んで仕上げました。木目がかつて見たことのあるかもしれない景色を描いてくれます。朝、昼、晩を問わず、お使いの場面がちょっと愉しくなるかも。たんに食器を載せるだけでなく、じかにパンや乾きものを盛っても様になる、よって盆皿。過熱、加湿、乾燥には敏感ですのでやさしくやさしく使い込んであげてください。
商品名 盆皿「西の木」
素材 栗、胡桃油
製造 木暮らし舎(大分県竹田市)
デザイン 猿山修
制作 東屋
寸法 大 径270mm × 高21mm
小 径240mm × 高21mm
価格 大 14,300円
小 13,200円
盆皿「西の木」小
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